良性発作性頭位めまいは、特定の状態(朝起きたとき、寝返りをうったときなど)の場合のみに起こるめまいです。めまいが発生する位置のことを「めまい頭位」といいます。良性発作性頭位めまいにおいては、めまい頭位になると即座に症状がでます。数秒から2分以内に治まる場合が大半です。めまいの症状は、回転性(周囲がゆれたり、回転したりしているという感覚)の激しいめまいがみられることと、平衡機能が異常が起こり、バランスを保てなくなることがあります。回転性のめまいの場合、嘔吐や吐き気が合併としてあらわれることがありますが、耳鳴りや難聴などの症状があらわれることはありません。40~60代の女性に多く見られる疾患で、「良性」という名前の通り、深刻な疾患ではありません。
治療をする場合、めまいの原因となる風邪・過労・ストレス等を取り除くことが必要です。また、平衡機能を改善させるために、薬とリハビリでの治療を行います。積極的にめまい頭位を取り除くことでめまいに慣れ、症状を抑えることができます。めまいの治療では、同じような発作をどれだけ防げるかが重要です。現在、発作が治っているからといって自己判断で治療を中断することはやめましょう。医師の判断に従って、治療を継続することが大事です。
耳鳴りや難聴など耳の症状を伴った、回転性のめまい発作を繰り返し起こす病気です,耳の奥の内耳(鼓膜のずっと奥)が水ぶくれ(内リンパ水腫)になることが原因です。水ぶくれをおこす原因は現在ではまだよくわかっていませんが、精神的・肉体的ストレスが一つの要因と考えられます。メニエール病の症状は主に片側の内耳に異常があらわれて発症しますが、20%~40%の方は左右両側に症状があらわれます。メニエ-ル病は脳が原因となるめまいではありませんので、生命にかかわるものではありません。また、メニエ-ル病の中には、聞こえだけが悪くなったり、良くなったりを繰り返す『蝸牛(かぎゅう)型メニエ-ル病』と、まためまいだけを繰り返す『前庭(ぜんてい)型メニエ-ル病』の2種類があります。
メニエール病の症状はぐるぐる回る激しいめまいが特徴的です。また、耳の聞こえが日によって異なり、めまいが起こる前に耳が詰まってきたり、耳鳴りが起こります。嘔吐や吐き気、冷や汗などの自律神経症状を合併することも多く、めまいは30分間~数時間続くことがあります。めまいが発生する間隔は毎日のように発生する、数週間から数年に一度の人まで様々です。めまいが軽い時は、ふらつき感やものが流れる感じがします。
メニエール症は現在、完全に治すことは困難です。したがって、めまいの発作が起こるたびに抑え、聴力をもとに回復させ、心身の安定を図り、発作を抑えることが治療の目的となります。治療は主に内服と点滴療法(ビタミン製剤、めまい止め、循環改善剤、利尿剤、時にステロイドなど)となります。またお薬は長期間服用する必要があります。ストレスや過労が原因となるケースが多いので、規則正しい生活を送り、疲れやストレスを溜めないようにしてください。メニエ-ル病は凡帳面な方やきまじめな方に多いようです。めまい発作が起きた際には、すぐに横になりめまいが落ち着くのを安静に待ちましょう。そして、可能な限り早く耳鼻咽喉科を受診しましょう。めまいが強く嘔吐を繰り返す場合は、入院したほうが良いことがありますので、当院もしくは耳鼻咽喉科のある救急病院をすぐに受診するようにしてください。
ぐるぐる目が回る激しいめまいが1回だけおこります。起きているときも、寝ているときも、症状の強さは変わりません。症状は1~3日間も続くことがあります。ウィルス感染などにより前庭神経に炎症が生じ、平衡感覚の正しい情報が脳に伝わらないことで発症すると考えられています。
めまいが激しい時期には安静にし、抗めまい薬の投与などを行います。症状が落ち着いてきたら、平衡機能を改善させるために、薬とリハビリでの治療を継続して行います。
耳鳴りとは、音が実際にしていないにもかかわらず音が聞こえるように感じる現象です。
耳鳴りには2種類あり、他覚的耳鳴(たかくてきじめい)と自覚的耳鳴(じかくてきじめい)があり、他覚的耳鳴は本人以外でも聴取可能な実際に聞こえる耳鳴りのことを他覚的耳鳴といいます。自覚的耳鳴は実際には音がしていない状態で音が聞こえる、つまり本人しか音が聞こえない耳鳴りのことです。
いわゆる「耳鳴り」というものは、自覚的耳鳴のことです。65歳以上の30%程の人が耳鳴りの経験があると言われています。耳鳴りと言っても、場合によってはうつ状態や不眠などの症状につながることもあるので、注意が必要です。
耳鳴りのしくみは明確には解明されていません。しかし、内耳から脳までの聴覚のどこかで、外部の音の入力に関係なく聴覚の神経が活性化されることによって起きると言われています。また一般的に、耳鳴りは静かになる夜や早朝に大きく感じるといわれています。原因についても、明確にはわかっていませんが「突発性難聴」など内耳性難聴の症状を発症していることが多く、関連があると考えられています。また、ストレスや過労等の要素によっても耳鳴りは生じるといわれています。
耳鳴り(自覚的耳鳴)は自覚的な症状であり、検査などによって耳鳴りを反映することは困難です。しかし、耳鳴りの原因のほとんどは、難聴などが考えられるため、聴力検査等で耳鳴りの原因を調べます。
耳鳴りの原因となる病気が明確な場合は、その原因となる症状を治療することが耳鳴りの治療になります。しかし、原因がわからない耳鳴りも多く、その場合には、
等の治療手段があります。
耳鳴りがして
難聴あり → 難聴の治療を実施
耳鳴りがして
難聴なし → 生活に支障なし → 経過観察にて様子を見る
難聴なし → 生活に支障あり → 薬物治療実施 → 改善しない場合は音響(TRT)療法を実施
※音響(TRT)療法とは?・・・音響療法は、音の豊富な環境を作り出し、耳鳴りが気にならない状態(耳鳴りに慣らしていく)にすることを目的とした治療法です。治療の効果を実感するまでに時間がかかりますが、焦らず治療を継続することが大事です。